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Add Japanese blog of DS-Ulysses (#4209)

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Co-authored-by: NConglong Li <conglong.li@gmail.com>
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# DeepSpeed Ulysses: Transformerモデルを非常に長いシーケンスで訓練するための最適化
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## 概要
巨大モデルを長いシーケンスで訓練することは、生成AIから科学的発見のためのモデルに至るまで、あらゆる分野で非常に重要になっています。
生成AIでは、会話型AI、長文の要約、ビデオ生成など、空間的・時間的な文脈での長いコンテキストの理解が求められます。
たとえば、音声、画像、波形を同時に処理するマルチモーダルの基盤モデルは、非常に長いシーケンス長の高次元の入力から、長期のコンテキストを理解することが求められます。同様に、章や書籍単位での要約(数万から数十万語と想定される)は、会話AIや要約タスクにおいて非常に重要です。
長いシーケンスを扱えることは、科学におけるAIの利用にも重要であり、構造生物学、医療、気候および天気予報、大規模分子シミュレーションを進歩させる可能性を持っています。例えば、大規模な言語モデルを遺伝子のシーケンスに適応させることにより、単純なアルファベットからなる非常に長いシーケンスから、ゲノムの進化のパターンを学ぶ言語モデルを作成できます(ヒトゲノムには64億の文字があります)。また医療分野において、全体の患者ケア記録に基づいて条件付けされる診断予測モデルでは、非常に長いシーケンスで表現される文脈を扱う必要があります。
生成AIや科学分野において、長いシーケンスを扱う重要性が急速に増している一方で、既存の大規模モデルの訓練システムや基盤となる並列化技術(データ並列、テンソル並列、パイプライン並列、シーケンス並列)では、効率的に長いシーケンスを訓練することができませんでした。既存の並列化のアプローチには、2つの課題があります。第一に、データ並列、テンソル並列、パイプライン並列のような、既存の広く使用されている並列アプローチは、シーケンスの次元に沿ってスケールアップすることができません。第二に、既存のシーケンス並列のアプローチは、メモリ上のデータの通信が理由で、高い効率が得られません。さらに、既存のアプローチは、大規模なコードの変更が必要となり、既存のコードにエラーを発生させやすいという課題もあります。
このリリースは、LLM(大規模言語モデル)の訓練において、非常に長いシーケンスの処理を、効率的かつスケーラブルに実現する新たな手法である *DeepSpeed-Ulysses(またはUlysses、非常に長い小説にちなんで名づけられました)* を公開するものです。
DeepSpeed-Ulyssesは、個々のサンプルを、シーケンスの次元で複数のGPUで分割します。そして、Transformerにおけるアテンション計算の直前に、 クエリ (Q)、キー (K)、および値 (V)について、*all-to-all* 通信を適用します。
このall-to-all通信により、アテンションヘッドの単位で重複のないように複数のGPUに分割配置される一方で、シーケンス全体が一つのGPUに保持されるようになります。各GPUは、それぞれに異なるアテンションヘッドを計算するため、並列に計算が可能です。アテンションの計算後、もう一度 all-to-all 通信によって、計算結果をシーケンスの次元で再分割します。
このブログで紹介するDeepSpeed-Ulysses及びその実装の主な特長は以下の通りです。
* 既存のシステムに比べて ***4倍長いシーケンス長*** (***100万トークン以上***)のシーケンスでの訓練が可能。
* 既存のシステムと比較して ***10倍以上の通信削減***。これにより、***最大2.5倍のスループット向上***と、175 TFlops/GPU(ハードウェアピークの54%以上)のスループットを実現。
* アテンションの実装に依存しない汎用性: Denseなアテンション計算のアルゴリズムだけでなく、Sparseなアルゴリズムも利用できます。また、FlashAttention v2のような効率的なアテンションの実装も容易に利用できます。
* 大規模モデルの訓練のサポート: ZeRO-3と連携して、長いシーケンスを処理できるだけでなく、巨大なモデルサイズもサポートします。
* 最小限のコード変更で、既存の訓練フレームワークに適用できます。
以降のセクションでは、DeepSpeed-Ulyssesの中心となる設計アイデア、通信コストの分析、実験的な評価と既存手法との比較を詳しく示した後、使用方法について説明します。
## DeepSpeed-Ulyssesの設計
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<img src="../media/image3.png" style="width:6.3479in;height:2.89442in"
alt="図1: DeepSpeed-Ulysses の設計" />
*図1: DeepSpeed-Ulysses の設計*
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図1はDeepSpeed-Ulyssesの中心となる設計を示しています。既知のTransformerアーキテクチャと同様に、入力シーケンス長 *N**P* の利用可能なデバイスに分割されて構成されます。各デバイスにおける、サイズ *N/P* の分割されたシーケンスから、クエリ (Q)、キー (K)、および値 (V) が計算されます。次に、各デバイス上のローカルな QKV から、all-to-all 集合通信によって、グローバルな QKV が構成されます。all-to-all 通信に続いて、ヘッドごとに以下のようにアテンションが計算されます。
$$Output\ context = Softmax\ (\frac{QK^{T}}{\sqrt{d}})V$$
アテンションの計算後、all-to-all 通信を再度実行し、Transformerレイヤーの残りのモジュール (MLP、layer norm など) の後続のオペレータを実行するため、シーケンス次元に沿って出力を分割します(各デバイス上での分割されたシーケンス長は、また *N/P* になります)。
### 通信量の大幅な削減
DeepSpeed-Ulyssesが、長いシーケンスのための既存の並列化手法と異なる点は、以降の通信量の分析に示すように、総通信量がはるかに少なく、それによって、シーケンスの並列度が増加した際の全体的なスケーラビリティが優れていることです。
ノード内通信にNVSwitch、ノード間通信にfat tree IBトポロジを備えるなどのモダンな計算クラスタでは、*P* 個のGPU上でall-to-all通信を行ったとき、合計メッセージのサイズ *M* に対して、リンクごとの通信量は *M/P* になります。隠れサイズ*h*、シーケンス長*N*、および並列度*P*のTransformerモデルに対して、アテンション計算の前に、QKVについてall-to-allを実行しますが、この合計メッセージサイズは *3Nh* になります。また、アテンションの出力に対しても、all-to-allを実行しますが、このメッセージサイズは *Nh* になります。したがって、Transformerレイヤごとに、リンクあたり合計通信量が ***4Nh/P*** となります (オーダーでは O(N/P)) 。この通信量は、NとPの両方が比例して増加する場合に一定です。
対照的に、Megatron-LMのシーケンス並列のような既存のアプローチは、*P* に関係なく *N* とともに通信量が線形に増加するため、通信量のオーダーは ***O(N)*** となります。例えば、Megatron-LMは、Transformerの各レイヤーに対して、通信量がNhの2つのall-gatherと、同じく通信量がNhの2つのreduce-scatterを実行します。しかし、サイズMの各all-gatherおよびreduce-scatterのコストは、 *P \>\> 1* の場合に(M/Pではなく)Mのままです。したがって、Megatron-LMシーケンス並列は、DeepSpeed-UlyssesのP倍大きな ***4Nh*** の通信ボリュームを発生させます。これにより、DeepSpeed-Ulyssesは、既存のアプローチと比較して、極端に長いシーケンスでの訓練を可能にし、訓練効率を大幅に向上させることができます。以降で示す評価結果は、この分析と一致しています。
### その他の特長
***アテンションの実装に非依存***
DeepSpeed-Ulyssesでは、アテンションの実装について、self-attention, cross-attention, Dense/Sparse等の異なるアルゴリズム、FlashAttentionのように、長いシーケンスをサポートするさまざまな最適化されたカーネルを用いた実装など、任意のアテンションと組み合わせて用いることができるような、一般化された構造になっています。
この一般性は、アテンション計算をモジュール化して用いることによって実現されています。アテンション計算の前では、シーケンス長NをN/Pに分割しますが、アテンション計算自体は、ヘッドごとに完全なアテンションを計算しており、ただデバイスあたりのヘッド数が少ないだけです。したがって、アテンション計算は、Denseなアルゴリズムやさまざまな種類のSparseなアテンションのためのアルゴリズムなど、任意の種類のアテンションのメカニズムと置き換えることができます。
***ZeRO3による大規模モデルの訓練***
DeepSpeed-Ulyssesによるシーケンスの分割と並列化は、長いシーケンスでの訓練時のアクティベーションメモリを削減しますが、モデル状態の保持に必要なメモリ量には影響しません。したがって、大きな言語モデルで長いシーケンス長の訓練をサポートするために、シーケンスの並列化はZeRO-3と統合されています。
[ZeRO Redundancy Optimizer Stage 3 (ZeRO-3)](https://www.microsoft.com/en-us/research/blog/zero-deepspeed-new-system-optimizations-enable-training-models-with-over-100-billion-parameters/) は、大規模なモデルを訓練するためのメモリ最適化技術です。モデルの状態(パラメータ、勾配、Optimizer状態)を全てのGPUに複製する従来のデータ並列と異なり、ZeRO-3はGPUにモデルの状態を分割配置します。シーケンス並列を併用する場合、訓練データは、サンプルの次元と、シーケンスの次元の両方で分割されていることになります。
そこで、データ並列およびシーケンス並列の両方のグループにまたがるプロセス群で、ZeRO-3におけるパラメータや勾配等の分割を行い、また必要な時にallgather通信によってそれらを収集します。同様に、勾配の集約(reduce)も、パラメータ更新のためにデータ並列とシーケンス並列の両方にまたがるプロセス群で実施されます。ZeROを使用することで、シーケンスとデータの両方の次元で大きなメモリ節約が可能となり、長いシーケンス長だけでなく、大きなモデルサイズにもスケーリングすることができます。
## 評価
多くのNLPタスクの基盤モデルとして用いられるGPTモデルの学習に、DeepSpeed-Ulyssesを適用し、最大64台のA100 GPU(40GBメモリ)を用いて評価を行いました。評価は以下の4つの観点で実施しました: i) シーケンス長のスケーラビリティ、ii) Denseなアテンションでのスループットおよび既存のシステムとの比較、iii) Sparseなアテンションのスループットおよび既存のシステムとの比較、iv) 収束性の検証。以降で、それぞれの評価結果を示します。
### シーケンス長のスケーラビリティ
最初の評価実験は、12億パラメータのGPTモデルでの、最大100万トークンまでのシーケンス長の強スケーリング(strong scaling)です。この評価の結果を、図2に示します。GPUの数に比例してシーケンス長を増加させた際に、それぞれのGPU数・シーケンス長で、ほぼ同等の計算スループットを維持しています。
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<img src="../media/fig2Ulysses.png" style="width:5in;height:4in" />
*図2: 異なるシーケンス長・GPU数での強スケーリング(strong scaling)*
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### Denseなアテンションでの比較
次に、300億パラメータのDenseなアテンションを持つモデルで、64台のA100 GPU上でのMegatron-LMのシーケンス並列との比較を行ったベンチマーク結果を図3に示します。
ここでは、様々なシーケンス長で、DeepSpeed-UlyssesとMegatron-LMのシーケンス並列を比較しました。評価のために、それぞれのフレームワークが、最高の性能(スループットまたはTFLOPとして測定)を得られるシーケンス並列の並列度と、グローバルバッチサイズを選択しました。これを私たちは最適(バッチサイズ-シーケンス長)構成と呼びます。DeepSpeed-Ulyssesでは、常にZeRO-3を用い、64台のGPUにパラメータ・勾配・Optimizerの状態を分割配置しました。
図3に示すように、DeepSpeed-UlyssesとMegatron-LMの両方で処理できるシーケンス長では、DeepSpeed-Ulyssesが常にMegatron-LMよりも優れたパフォーマンスを示しました。さらに、DeepSpeed-Ulyssesは、Megatron-LMのシーケンス並列よりも、長いシーケンスを処理できます。DeepSpeed-Ulyssesの利点は2つあります:(1) ZeRO-3との組み合わせにより、メモリの必要量をより小さくできるため、Megatron-LMよりも大きなバッチサイズを処理できるようになり、スループットが高まる。 (2) DeepSpeed-Ulyssesは、Megatron-LMシーケンス並列処理で適用されるall-gather通信と比較して、より効率的なall-to-all通信のメリットを得られる。
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<img src="../media/fig3Ulysses.png" style="width:5in;height:4in" />
*図3: 300億パラメータ・DenseなアテンションでのMegatron-LMとの比較*
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### Sparseなアテンションでの比較
同様に、300億パラメータのSparseなアテンションを用いたモデルに、DeepSpeed-Ulyssesを適用し、Megatron-LMのシーケンス並列との比較を行いました。評価の結果を図4に示します。Sparseなアテンションに関しても、Denseなアテンションと同様の傾向が見られます。Megatron-LMに比べて、DeepSpeed-Ulyssesのスループット性能が2倍以上であることを確認しています。ZeRO-3を用いたメモリ使用量の削減によって、Megatron-LMよりも4倍長いシーケンス長を処理できています。
DeepSpeed-Ulyssesは、DeepSpeed-UlyssesとMegatron-LMの両方で実行できるシーケンス長において、Megatron-LMを上回っています。実際、現在のDeepSpeed-Ulyssesのスループットは、各GPU上でローカルに計算されるSparseなアテンションがボトルネックとなっており、その結果、シーケンス長が増加するにつれてスループットが減少します。将来、ローカルのSparseなアテンションの実装のパフォーマンスを向上させることで、DeepSpeed-UlyssesとMegatronの間の性能のギャップが、より大きなシーケンス長に対してさらに広がると予想しています。
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<img src="../media/fig4Ulysses.png" style="width:5in;height:4in" />
*図4: 300億パラメータ・SparseなアテンションでのMegatron-LMとの比較*
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### 収束の検証
図5では、8台のA100 GPU上で32Kのシーケンス長を持つ13億パラメータのGPTモデルの収束を示しています。ここでは、DeepSpeed-UlyssesとMegatron-LMのシーケンス並列の両方で、シーケンス並列の並列度を4に設定しています。DeepSpeed-Ulyssesは、ZeROと併用可能なため、それぞれのZeROステージでの収束を評価しました。DeepSpeed-Ulyssesは、長いシーケンスのTransformerモデルの訓練を可能にするための、システム面での最適化技術であり、したがって訓練されたモデルの品質に対する(ネガティブな)影響はありません。このことは、図5の結果から確認できます。
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<img src="../media/convg.png" width="500px" />
*図5: 異なるZeROのステージでの収束*
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## DeepSpeed-Ulyssesの利用
DeepSpeed-Ulyssesは、数行の簡単なコードの変更だけで、既存のコードに簡単に統合することができます。以下は利用の例です:
``` python
from deepspeed.sequence.layer import DistributedAttention
# Replace the original self-attention (attn) with DeepSpeed-Ulysses’s self-attention
dist_attn = DistributedAttention(attn, get_sequence_parallel_group())
```
シーケンス並列処理をサポートする他のライブラリ、例えばMegatron-LMと比較して、DeepSpeed-Ulyssesはモデルのリファクタリングを必要としません。
また、DeepSpeed-UlyssesはMegatron-DeepSpeedコードリポジトリと統合され、テストされています。
大規模な言語モデルの訓練のためにこのリポジトリをすでに使用している場合、巨大なシーケンス長のモデルを訓練するために、DeepSpeed-Ulyssesをすぐに活用できます。
## 早速試してみましょう!
DeepSpeed-Ulyssesは、DeepSpeedのGitHubを通じてアクセス可能です。使用方法に関する詳しいチュートリアルは、[DeepSpeedのチュートリアルページ
](https://www.deepspeed.ai/tutorials/ds-sequence/)にあります。
長いコンテキストを扱う際の制約を取り除くことによって何が可能になるのか、ユーザの皆様と共に様々な可能性を探求するため、幅広い協力やコラボレーションを歓迎します。DeepSpeed-Ulyssesは、大規模なAIの訓練と推論のためのより大きなDeepSpeedエコシステムの一部です。DeepSpeedの多くの技術や革新的な機能の詳細については、[ウェブサイト](https://www.deepspeed.ai/)をご覧いただくか、X(以前のTwitter。[英語版](https://twitter.com/MSFTDeepSpeed)[日本語版](https://twitter.com/MSFTDeepSpeedJP))や、中国の[Zhihu](https://www.zhihu.com/people/deepspeed)でフォローしてください。
DeepSpeedは、皆様の開発への参加を歓迎しています。DeepSpeedのGitHubページで、バグ報告、Pull Request、ディスカッションへの参加が可能です。詳細は[ガイドライン](https://github.com/microsoft/DeepSpeed/blob/master/CONTRIBUTING.md)をご覧ください。また、大学、研究所、企業とのコラボレーションも行っています。こうしたコラボレーションについてのご要望(およびGitHubには適さないその他の話題)については<deepspeed-info@microsoft.com> まで直接メールをお送りください。
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